「ハイエボラジオ」で語られたこと(メモ)

交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」シリーズの完結編「EUREKA」公開時に、映画の来場者特典として配布された、「ハイエボラジオ」の聴取権。MCにエウレカ役の名塚佳織さん、ゲストに京田知己監督が毎回出演しており、映画の製作過程が伺えるような貴重な裏話が聞けて、どの回もとても面白かったです。

聴取可能期間が2021年末までということだったので、もう聞けないのですが、
貴重な話、面白い話が多かったため、聴取期間最終日あたりに急いでメモしていました。たぶん端折っているところも多々あると思うのですが、今となっては不明です。

映画公開中はさすがに…、BD発売時にもしかしたら特典に…?とかを懸念して、ブログには上げなかったのですが、そうこうしているうちに存在自体を忘れていました。ということでここに掲載します。

なお、くれぐれも個人的メモなので忠実な文字おこしではありませんし、なおかつ
会話の抽出になってしまうので発言者の意図と違う部分はありますのであくまで参考としてご覧ください。

1 ゲスト 遠藤里奈さん

最初は京田監督と名塚さんのみの会話です。

名:今回のエウレカシリーズは今だからできた作品と小清水と話した。5年前とかだったらエウレカたちの感情に追いつけなかった。
京:今の自分・スタッフの「気分」を出したいと思った。年齢層が上になってしまった。
京:物理的に10年経ったというのが大きい。登場人物たちがどう生きてきたのか。エウレカは純粋すぎて傷つきやすい。生きていくために鍛えたり(心の鎧)、酒に逃げたりしてきた。
名:私自身もそのタイプ。酒好きだし、リンクする部分が多い。アイリスとの旅で母親としての感覚に近いものが出てくる。自分も子育て中で、アイリスとのやり取りでそういう部分が出てしまう。アフレコ時に、「言い慣れすぎてる」と指摘された。家での生活を見られているのでは…?と思った。日常で使われている会話がたくさん出てくる。
京:説明っぽくしない、特にエウレカは表層的なことしか言わない子。なるべく「アニメっぽい」セリフにはしない、普通の会話のように言葉足らずな会話にすることは心がけた。
名:アイリスとの調理場のシーン。言葉数は少ないがあれで距離が縮まっていくのが「エウレカっぽい」。レントンとも言葉足らずですれ違うこともあったし。
京:当時から気を使って、脚本チームがとても頑張ってくれてた。その時に齟齬をうまく作ってくれてた村田さんに脚本をお願いした。

 

名:ホランドが「生きていたのかエウレカ」と言っていたけど、死んだと思われていたのかという質問が。
京:行方不明だった。
名:10年間の経緯は監督たちの中では埋められている?
京:エウレカがどうやって生きてきたかとかその辺は決まっている。いろんな事件・事象を調べて、こういう感じだったんじゃないか。実際にいる人もいるのだけど、それらのハイブリッドな形で考えて、その流れの中で心の揺らぎだとかを踏まえて10年。
名:時間の流れをつなげるのは難しいのでは。
京:うまくいってればいい。
名:私たち(声優)も台本をもらって初めて設定を知る。小清水とも「こうだったんじゃないか」という話で盛り上がった。人と出会うタイミングが大事。私も16年前に「エウレカ」という役に出会えたのが大きい、三瓶ら同世代とともに作品を作り続けてきた。それらの出会いで今の自分がある。

 

名:最後の最後にレントンとの再会がある。
京:でも、ずっとレントンは出ている。形を変えて。
名:そばにはいてくれていた。収録の時不思議な感覚だった。三瓶と一緒に収録した。エウレカ以外の作品で出会うことも近所のため食事することもあるのだけど、お互いエウレカレントンとして掛け合うので照れくさい、うれしいような収録だった。
京:あの瞬間から16年前に戻ったなって思った。当時の彼らになるのが狙いではあったが、面白い体験だった。
名:スクリーンに乗ってるといいな。
京:声は問題ない。絵も当時に近づけている。レントンがすべてを受け入れて迎えに来てくれたシーンとしてはうまく描けているのでは。
名:アイリスがすごい宣言をして最後しめくくる。
京:だから「ハイエボリューション」なんですよ。

アイリス役の遠藤さんを加えての会話

名:改めてアイリスとはどんな役ですか。
京:一番意識したのはエウレカと真逆の生まれ育ちの人。エウレカが孤独だったからこそレントンに出会ったりいろんな人生を紡いだけど、別の生き方もあったはず。エウレカが心を開いていくには、ついになる、対比してしまう人物と出会い、突き抜けられなかったものを突破するようにしたかった。

 

名:アイリスを演じてみてどうでしたか。
遠:感情が豊か。妹がアイリスと年齢が似ているので、妹を参考にして演技した。
名:アイリスのまっすぐな感じ、年齢によるトゲがある感じ、大人になろうとしている感じ、すごく伝わってきた。
京:狙ってたんですけど、狙ってたよりうまくいった。
名:オーディションのときはどうだった?
京:音響監督の若林さんに、「こういうふうにしたい」と方向性だけ伝えてやってもらった。前回のANEMONEのサントラを聞きながらセリフを読んでもらう。佐藤直紀さんの音楽に誰がいちばん会うだろう?曲の周波数といちばん合いそうな人。もちろん芝居は、若林さんが芝居に厳しい人。
名:声質がいいってことですよね。
京:一番よかった。今回のフィルムに一番合う。最初のエウレカからそういう決め方。まだ佐藤直紀さんの曲は無かったけど、その前の仕事での曲や設定を踏まえて決めた。
名:なんで自分を選んでくれたかを聞く機会はない。
京:こういう決め方をしているのはあまりないと思う。

 

名:アイリスを演じていて難しかったことは?
遠:感情の急な切り替えが多かった。
名:そんな様子がエウレカの心を刺激した。
京:そもそもヨーロッパを女性2人で渡り歩くのはハードルが高い、緊張感のあるところ。心を開かせるには、子供が振り回してくれないといけない。バディーものを作りたいなというのが根本にあった。
名:アイリスのツッコミもするどい。そこにエウレカも負けず嫌いが出てしまっている。
京:エウレカは負けず嫌い。
名:母親としては子供に自分よりもよく育ってほしいと思うから、自分のことは棚に上げて叱ってしまうこともある。
京:今回は母親というより、年近いお姉さんという感じ。お母さんになりすぎないように、というのはコンテのときから意識している。どちらかというとおじさん。
名・遠:おじさん……
名:なるほどね…今わかりました。遅い!子供が生まれてすぐのころを思い出すようにしていた。扱い方がわからない、接し方がわからない。今でないとできない役という話をしたが、お芝居というのは過去に戻ることはできる。先を行くことは難しい。過去に戻って、子供が生まれる前に子供と接する感じ。当時は気を使おうとしすぎて壁を作ってしまうことが多かった。エウレカもそういう感じだったのでは。アイリスとどう接すればいいかわからない。しかし機嫌を損なうことは任務に支障を与えるのはわかるという。
京:エウレカにとって大事なのは、エウレカは能力を失っているが、アイリスにはある。嫉妬というわけではないけど、くやしさなどはある。それを隠すためにエウレカのおじさんの部分が出てしまう。(生まれ育ちとかに)可能性を感じてしまう部分はあるが、自分のしてきた決断にどう落とし前をつけるかもがいているのが今回のエウレカ。このもがきを見て人として尊敬できる部分はある。アイリスが見て尊敬できるといいなと思った。
名:アイリスから見てエウレカはどういう女性?
遠藤:お姉さんだけど、不器用な部分もある。自分も妹に対して似ている部分もあると思った。

 

名:京田監督とは初めての仕事?
遠藤:初めて。出たかった作品なので決まったときうれしかった。収録も楽しかった。
名:今までの作品での収録だと、大人数で入れ代わり立ち代わり、夜中までやることもあった。二人で撮れて、後ろを気にせずに撮れた。
京:一番最初に収録した。本当だったらほかの人を撮ってからのほうがよりよくなったかなと思うこともあった。デューイ何言ってるかわからなかったでしょ。
名:山寺さんさすが。一緒に撮ってくださったのか…?と思った。
京:第一声からさすがだった。山寺さんにやってもらえるかわからなかった。いろんな意味で引き受けてくれた、という感じ。ありがたかった。

 

名:月日が経って私たちも変わった部分もあるけど、この作品をまた作れる、そしてまた引き継いでくれている。全部合わせて家族だなって思った。形を変えても同じチームで作れている。これをこのまま受け止めてくれたら。最後にエウレカを継ぐ、という意味は?
京:免許皆伝。大事なものを受け継いで、先に進んでいくという話にしたかった。ハイエボリューションという 代替わり いろんな思いとかがその世代だけじゃなくいろんな世代に受け継いでより良い世界にしたいという願い。このサブタイトルにする以上、代替わりはやらなければいけないことだと思ってやった。このセリフとレントンとの受け答えだけは3作目をやるにあたってやると決めていた。

 

名:パンフには大人になったアイリスの姿が。これはどういう意味が?
京:大人になったアイリスがトーマスと出会い、テレビシリーズ1話のような描写で終わる、というのを考えていた。ただ、受け継ぐ、代替わりという話を作っているのに自分がやってはダメだろうと思った。もしやるなら別の人が描くべき。
名:それは泣いちゃいますね。別の監督を建てなきゃいけない。
京:アイリス仕様のウルスラグナの設定なども作っている。だれかやりたかったら、やって。
名:脚本にもある?
京:トーマスが群馬に住んでいる。群馬にはいいトラパーが来ない。ホランドの形見のコンパクに「エウレカ」って出て、アイリスの乗ったウルスラグナが飛んできて目の前に落ちてくる。
名:本当にアニメ1話だ。
京:そう。でも、設定ではコンパクを使うのは犯罪なので、コンパクを使ったせいでロボットが誤作動を起こして落っこちてきた、とアイリスは思っているので、トーマスに「逮捕します。死にたくなければ言うことを聞きなさい」と。対してトーマスが「かわいい」と言っちゃう。トーマスがバイクに乗っている設定とかも作っていた。でも、自分がやってはダメだろうと。
名:そんな設定画がパンフに乗っている。指輪とか。
京:指輪…?なんてね。
名:次回以降のラジオで話せるかも。

 

質問
Q:遠藤さん、小学生のころからアニメに出演していたけれど、昔と比べて変わった部分などはありましたか?
遠:初めてやったのが泣くことが多い役だった。今回も泣くシーンが多かったけど、うまくなったんじゃないかな。
京:うまかった。
名:泣くにも種類がある。
遠:想像しながら。自分が泣いてもいいやという感じで。
名:思い切りがいい。お芝居がいいとき、京田監督は尺が伸びてもいいということが多い。
京:怒られることも多いけど、それがイイものなんだから良いじゃんという。キャラクターが生きてこない。絵でも、キャラクターに寄り添った絵を描いてくれると、それを採用したりする。後の苦労はこちらでやるので、せっかくいいものを使わないという手はない。
遠:「うるさいわね」のくだりも長めにとった。
名:自分たちのタイミングでいいと言われた。
京:あとあと大変で…。全部描きなおした。でも良かったんで、そのままやりたいと。

 

名:アニメシリーズと比べてできるようになったこととかはある?
京:無駄に絵がうまくなった。すると描きすぎちゃって、アニメーターの想像力を奪ってしまうことがある。気を付けないといけない。
京:こういうお題を出すので、担当者で面白くしてくださいという。あくまでお題でしかないのに、お題がかっちりしているとそれしか出てこなくなってしまう。
名:演技指導と同じですね。音響監督がやってしまうことがあるけど、そうなるとそれをなぞるしかなくなる。
京:やってもらってる人の解釈を大事にする。その人たちに賭けているのだから信じる。違う方向に進んでいたら、直接ではなく外側から戻さなくてはいけないけど、それができなかったらこちら側にスキルが無いだけということ。自分のスキルの無さ、もう少しこうしたらというのは毎回感じる。どちらかというとできないことが分かっていく16年だった。
名:当時は等身大だった。身近な役だったし、何も考えずにセリフを言えた。投げて、相手からセリフをもらって、というやり取りでできた。けど今やろうと思ったら当時を思い出したり、いらん技術も身についている。当時は10代の少女に寄り添おうなんて考えなくてもできた。でも声優はどんな年代、人間以外の役もある。技術を高めることも大事だけど、どの年代に対して、時代に合わせたものを直球で出せる感覚を積み上げていかなくてはいけない、というのは今になって難しいと感じる。学生の役をやるにしても、今の子たちってどう話すかという感覚は以前と変わっているから、磨かなくてイケナイ部分。若い役をもらった時に、若い感覚でじゃべれない。私も年取ったなと思う。

 

名:私たちも知らない話がたくさんあった。
京:まだまだあるよ。
遠:映画見てくれてありがとう。素直に、楽しんでくれてたらうれしいなと思う。感想を聞いてみたい。
名:始まってからもみんなと交流する機会があったらいいなと、毎回思う。Twitterとかでも描いてくれたらうれしいな。
遠:最初は緊張したけど、貴重な話を聞けた。

2 ゲスト 小清水亜美さん

名:3部作完結した心境は。
京:疲れたな~大変だったな~。
名:それぞれにテーマがあった。
京:結果的に作ったらテーマが出てきたというのが強い。直前まではどういうテーマになるかわからなかった。
名:変わっていった感じがある?
京:2本目で自分の気分が出て、3作目につながった。
名:前後半になった感じといった。
京:作ってる時からそうならざるを得なかった。
名:2本目のときから3作目の方向が決まっていた?
京:2本目作ったときに自分の中で作り切った感じがあった。作り終わった後今回やりたかったことができたと思ったが、忘れていたことが1つあり、「エウレカの処遇が酷すぎる」。
名:2本目台本をもらった時、エウレカはこれで大丈夫なのかと不安になった。これまでと比べて非常に駄々っ子。わがままな気持ちだけで世界を変えてしまうという。これはまずいのでは。
京:まずいよねえ。ただ1本目のときのエウレカってこういう性格で走り出した。自分の中では冒頭30分で描いたエウレカは2本目のエウレカと変わっていない。ああいう性格の人物がどう変わっていくか、を3本で描こうとしたが、1本目で色々あって冒頭30分で話が終わってしまうことになった。2本目作った後に、エウレカにちゃんと結末をつけてあげないと、ひどい監督と言われてしまう。そのためだけに作っている、という気分もあった。
名:2本目のときに、新たな世界観としては出し切った感があった。
京:やり切った感があった。最後に「続く」って出さなかったのは、自分の中で続くというのがどういうことなのかわからなかった。丁度辻谷さんへのメッセージを入れたかったため、その部分にメッセージを入れた。そのあとに「続く」を入れるのが嫌だった。そうした2つの気分から続くや予告を入れなかった。
名:もう一度ANEMONEを見たくなる。今作とセットで見てほしい。
京:ANEMONEを見たあとに1本目をみると「こういうことだったのか」がわかる構造だった。ANEMONEとEUREKAは続けて1本見てもらうというのが良い気がする。
名:まだ観てない人は見てね。
京:本当に続いているので。

 

名:「EUREKA」でエウレカが能力を失っているのは、前作の最後で力を失ったのですかという質問が来ています。
京:アネモネが外に連れ出したときに、どうして外に出れたのかというと、エウレカが自分の役目を「やらない」ということを決めたことで出れた。エウレカが首輪をしているのは制約とかのメタファーだけど、それが自分の力で破壊された。自分が「出る」と思って破壊されたことによって、能力を使わない・いらないと決めた。
名:その時に自分の制約が変わった。あのシーン、ずーと走っていくとこいいシーンですよね。
京:アネモネのお父さんの話を絡めて、どのようにアネモネエウレカを開放できるかを考えた。あと、同じ背景なので使いまわせると思った。いかんせん作る時間が短すぎた。
名:相当大変だったなと、完成品をみて思います。
京:よく間に合ったな、と。

 

名:最後のほう、アネモネエウレカが言い合うシーンがすごく好き。テレビ版でも対峙することはあったけど、違う立ち位置でお互い感情をぶつけている。新鮮だったし、違うパターンで同じような言い合いをしているのが面白かった。あれを経て、テレビのころのアネモネを理解できた気がする。テレビ版のアネモネの辛さがわかったような気がする。
京:年月を重ねた、人の見方が変わったからああいうのを作れたのかな。

 

名:今回はエウレカと同じ力を持つアイリスによってエウレカが変わっていく。アイリスはどういう経緯で生まれた子でしょうか。
京:エウレカがどうやったら救われるのか、と考えた。どうしてもレントンというキャラクターが外せないが、描き方を間違えると、男がいればすべて解消してしまうのかという問題が常に付きまとっていた。どうやったら自立して、一人の女性として立ち上がって、生きていくべきなのか。レントンはどういった形でもエウレカを受け入れると思ったが、レントンさえいればいいという女の子はレントンはそんなに好きにならないのではないか、とか。
名:新たな道を行くエウレカというか。テレビのころってレントンさえいればよかったという面があり、それが純粋でまっすぐな心がかわいらしく、エウレカの魅力だった。大人になってそればかりではいけない。自分も30代半ばになり、振り替えてみると自分を支えてくれた仲間や友達が大事だったことを実感している。
京:そういうキャラクターを配置していこうと思ったのが今作。そうした中で閉じこもってしまうエウレカを開放するキャラクターを考えた。出自が違う。対立するけど、意外なことを言われて心を溶かす、という話にしたい。
名:アイリスがまっすぐエウレカに刺さってくれる。自分からではなくアイリスから来てくれるので、エウレカも無意識に受け入れられるというところがある。そしてアネモネの存在ですよね。アネモネエウレカを前作以降ずーと見守ってくれていた。
京:すごく複雑な立ち位置。お父さんを殺されているし、人類の敵でもある。でも仲良くなっている。作中でエウレカの部屋に入ってきちゃうけど、あれはカードとかすべて握られている。プライベートが一切ない。でもそういった関係でありながら協調しながら生きていける。特殊な環境だけど信頼関係が見れる。
名:エウレカアネモネがいなかったら前作の段階から生きていなかったのではないか。また、最後にレントンと再会できた。…なんで今ニヤっとしたんですか。
京:いやいやいや笑。再会…?っていう。
名:レントンは実は最後に再会できたようだけど、実は
京:実はずっとエウレカを助けようとしていた。ずっと近づいてきていた。
名:そんなところも注目して見ていただきたい。

アネモネ役の小清水さんを加えての会話

小:前半戦だけで濃いですね。
名:これ特典のわりに濃くて長いのよ。「石井・風花・アネモネ」役。
小:びっくりしたよ。
京:ぼくもびっくりした。
小:台本をもらって「?」。アネモネは、アネモネだけど、アネモネじゃない!?
名:どこらへんにテレビシリーズのアネモネが残っているのか、探す方が難しかったんじゃない?
小:途中でジエンドに乗るシーンもあったけど、そっちはオマケというと違うかもだけど、生まれも育ちも違うのでびっくりした。何より、パパがいる。テレビでは家族がいなくて、父親っぽいポジションにいびつではあったがデューイがいた。今作では初めから愛されている、というのが戸惑ったところはあった。
名:テレビでは愛情に飢えていたが、愛を持って育ててもらった。育ち、周りの環境が違うだけでこんなに人が変わるのか。
小:親も親戚も、大人たちは子供に接するときは本当に気を付けないといけないと改めて思った。

 

名:前作のアネモネの設定はどういうところから?
京:1本目が終わったときに2本目の内容が決まってなかった。試写会のツアーの道中などで考えていて、年末の段階でほぼできていなかった。自分のやりたいこと・見たいものを落とし込まないと公開に間に合わない。自分なりに今の時代でこういう素材(デザイン)を踏まえてどういうものが作れるか、考えた結果。自分自身が出まくっているので、自分としては気恥ずかしい作品。言ってるセリフは大体自分が言っていること。例えばミーシャのセリフは自分が普段言っていること。賢さんが言っていることも、「割とそうじゃね?」と思っていること。そうじゃないと脚本が間に合わない。脚本がないと絵コンテが描けない。プロットだけ作って、脚本描きながら絵コンテ描いて、というのを毎日やってたらこうなった。
名:前回も言っていたけど、年齢を重ねたことで見える目線・立ち位置が変わった。テレビのころはボーイミーツガール、少年少女の物語。上の人たちにどういう思いを抱えていたか、を描いた。今作では子供たちに何を残すべきかとか、巻き込んでしまう大人たちを描いている。
京:大人は悪いことをやろうと思って悪いことをしているわけではない。大人なりに良いことをやろうとしてうまくいっていないことがある。それを若い子が乗り越えていく。それをみんな「いい人」として描けないかと思った。いろんな不幸が重なって大変な状況だけど、アネモネが中心人物になって自分なりの人生を踏まえて新しい道を切り開いていく、という作品になると素敵だな。その結果として敵と仲良くなってしまったという話なら前向きになるかなと思った。
小:お父さんの仇の存在ではあるけど分かり合える気持ちがあった。孤独な気持ちとか辛さ・弱さにシンクロする気分があった。ハイエボのアネモネを演じながら、「エウレカのそばにいなきゃ」という気持ちで、でもそういう気持ちもありながら、アネモネ自身も「この子にそばにいてほしい」という気持ちもあるような。2人で歩んでいくというのが、来るものがあった。そのうえでドミニクが、まさかの「人じゃない」。爆弾だったとか。これってこの世界の「ドミニク作戦」ってありますけど、テレビのころからそういう構想があったんでしょうか。
京:それは全くないです。アネモネというキャラクターを活かすために、ドミニクというキャラクターを変えていった結果。あと、お客さんに「お父さんなんじゃないの?」という勘違いをさせて展開にして「違うよ」といってキャラクターを確立させるという狙いがあった。もともとはギミックとして使った。…もともとアネモネとドミニクってテレビのころ3話くらいしか出る予定じゃなかった。
小:もともと、死ぬ予定だったって聞いてた。
京:3本くらい出てきて、エウレカの敵対するライバルとして出てきて、いろんな意味で作品の雰囲気を持って行ってしまうけどエウレカに敗れて負けてしまう。ドミニクは怒ってロボットに乗れないのに体を改造してロボットに乗って仇を撃ちに行って負けてしまうという話だった。最後のほうでちょこっと出てくる青と白のロボットがある。全然活躍しないけど、もともとドミニク専用ロボットだった。要は、そういうキャラクターを倒してまで、エウレカレントンはなぜ戦わなくてはいけないのか、世界を救わなくてはいけないのかと突き付けられるという話だった。ただアネモネの生命力が強すぎて…何をやっても立ち上がってくる。最終的には生き残っちゃった。今回も生き残っちゃった。
小:ドミニクなんて1回ドカンとなったけど、いろんな力で戻ってきた…?戻ってきた以上の奇跡が起こりました。
名:そのおかげで、アニメのランキングで1位に「バレエメカニック」が。何度でも見たくなるというか。
京:(小声で)割と狙って作ったところはあるからねえ。アネモネという名前とかも含めて、「絶対僕はこういうのが好きだからウケてくれるはずだ」という要素を全部詰め込んだ。だからこそ3本くらいで全部持ってって死なせた方がいいなと思ったら、まあ死なない死なない。最初に出たときからもってっちゃった。
名:どのキャラクターも個性が強かったけど、全然違う角度だった。
小:取材で思い出したけど、テレビシリーズが終わったときに名塚と「きっとこのような形でエウレカアネモネが出会わなかったら一番の友達になれたと思う」と話したことを思い出した。それがハイエボでかなった。
京:もちろん、それをうけている。確かにそうだよなと思った。こういう機会だからそういうところを全面的に出していこうという。
名:そのころから思いが繋がっているんですね。

 

小:ずっとエウレカってヒロインでやってきた。3本目ではヒロインじゃなくヒーローになったねという感じだった。
名:今までは守ってもらっているという感じ。自分から飛び出していく、決断していくというのではなく、周りが頑張ってくれるから自分も頑張るという感じだった。今まで以上に感情があらわになる。今までは悲しみだったけど、怒りやくやしさに転換していく。どうにかしたいのにどうにもならず、自分自身にイライラするという新しい一面。
京:こういう状況で大人になったらどうなるのか、アネモネの𠮟咤激励もあったりで、こういう成長をしてくれるのではと考えて作った。
名:こういう形で感情を吐き出すとは思っていなかった。
小:アネモネとの会話でも、筋トレ・酒なんて想像できなかった。
名:アネモネのコミカルな雰囲気もテレビからは想像できなかった。小清水も新たな一面だったのでは?
小:ハイエボ2の時点で生まれなおし、その延長だったから、今作では自然にはいれた。エウレカアネモネのギャグっぽいシーンあるよね。2人になると急に笑
京:それは意識していて、2人のときの表情の付け方と、他の人との会話のとき、表情の付け方は変えている。それだけ2人の気を許しているという感じ。
小:アネモネのときの2人の関係にふと戻る瞬間に刺さるものがある。10年ずっと一緒にいたんだなって感じがする。「お父さんのことを許していない」といいつつ、「10年どうに生きてきたのか全部見てきている」というセリフからも、重さと、「エウレカのことを誰よりも好きなんだな」というのを感じた。だから最後のシーンも、行かないで欲しかった。
名:そりゃ寂しいよね。
京:あそこは本当に悩んだ。ああいう話に収束させていくのは全体の話が決まった段階で決めていたのだけど、それでいいのかずっと悩んでいた。全員が残るという選択肢が無いかというのも考えたのだけど、これが今回の流れとしてはいいんじゃないかと。エウレカレントンが来たから救われたんじゃないかと取る人もいるだろう。ただそれを踏まえたうえで、エウレカはそういう批判を全部受け入れたうえでそうした選択をした。それを知ってレントンエウレカを連れて行くという選択をした。そういう風に作っているつもりだが、そういう風にとらえてくれたらうれしい。めっちゃかっこいい2人で、本当の本音は言わないけど、やさしさや相手を思う気持ちを内包してああいうセリフを言っているつもりなんだけど…うまくいっているかなあ。
小:あそこのシーンはヒーロー同士の会話ですよね。

 

小:(質問)「どうしてドミニクが出てこないんですか」って。
京:ドミニクはこっちの世界にやってきて、世界は広くていろんなことがあると世界に興味を持って自分探しの旅に出ていった。旅から帰るとアシッドという新しい組織ができており、自分が役立てることはなにかと考えた。タレントになって、この世界のことを伝えることが大事なんじゃないか。…今タレントさんやってます。
小:はあ?
名:どういう頭の回転・・・?
京:この世界のことを気に入っちゃって、この世界のことを伝えなきゃ!
名:純粋。
小:ガリバーっていないじゃないですか。この世界でガリバーを生かすために、中に誰か入っているという設定で、2人で世界のことを伝える、アシッドの広報をしているという設定。
名:それは設定だけの話?
京:ポスターという形で出ている。デューイが出現したシーンの真後ろの看板に。子供向けの番組。「がりっとばるーん」という番組名。最初はアネモネエウレカを自販機の前で叱咤するシーン。モニターに表示させるつもりだったが、まったく話が入ってこなかった。絵コンテには描いてある。丁度前のシーンがアイリスと両親と話すシーンなので、そういうのがあってもおかしくないかなというのもあった。

 

?:他にもアネモネの裏話があるというような。
京:いっぱいあるよ。
?:いちばんやばそうなやつお願いします。
京:それはまずい笑 でも「3話だけ」という話は初出しのはず。
名:こういう結末の予定じゃなったというのも初めてな気が。
京:「こういう結末の予定じゃなかった」というのはエウレカに関しては多くて。最初のエウレカの「死ぬ・死なない問題」も最初はああいうオチじゃなかった。3本目の映画って、交響詩篇のエウレカでやろうとしていたクライマックスがほぼほぼそうなんです。アイリスがエウレカで、レントンエウレカ…(アイリスがエウレカで、エウレカレントンの誤り?)
小・名:?
京:宇宙船に行くじゃないですか。あそこから、もともとああいう話が49、50話。エウレカがデューイに囚われちゃって、力を発動させられそうになって、レントンニルヴァーシュを連れて突っ込んでくる。で、軌道エレベーターや宇宙船が倒壊し始めて、スカブコーラルの地球が壊されそうになるのを、エウレカレントンが指令クラスターのところにいって、星にお願いをして、止めてもらうという話。指令クラスターは48話でぶっ壊しちゃったんですけど。なので48話の途中から話が変わってる。
名:そんな最後のほうで急に変わったんですか。
京:「もう作れないや」ってのがわかったんで。48話作った後で、スタッフがもういないねってなった。お話を変えるしかないねっていう。作ってるときに48話までしか作れないねってのがわかったんで、もう48話で終わらそう。あとは特番とかダメなの?とか言って。その時やろうとしたことを、アイリスとエウレカの関係に入れ替えてやっていこうという。
小:じゃあやっぱりヒーローなんだ。
京:エウレカレントンになった。
小:最後のシーンも、レントンレントンなんだ。
京:そういう意味では48話で終わっちゃってるというのは正しいといえば正しい。残り2話を作れなかったというのが尾を引いている。最初の映画(「ポケ虹」)は最初はその2本を作り直すという話だった。ただ諸般の事情でひっくり返って、編集版の全く新しい映画を作ろうってなった。10何年越しで、今回最終回のようなものを描けたのじゃないのかなと。
小:もう一個だけ。アネモネとドミニクの関係は?
京:設定画を見ると、アネモネが指輪をしている。ドミニクもポスターで指輪をしているんですよ。
名:二人は繋がっているんですね。
小:それが聞けて良かったです。

 

(質問)ハイエボ1の予告と2の本編が違うのは意図的だったんでしょうか。
名:先ほどハイエボ1のときに2については決まっていなかったという話がありましたが。
京:もともとハイエヴォリューションという企画が始まったときに、「こういう感じの話を作りたい」と思って作り始めたのだけれど、最初の30分を作ったところで諸般の事情でその内容ができなくなった。その段階で2をいちから作らなければいけなくなった。自分としては2の構想に切り替える必要があった。そこでデザイナーのコヤマシゲトさんに、当初こういう内容が作りたかったというのを見せたかった。それを踏まえたうえで、ファンが喜ぶアイデアを頂戴、といって作ってもらったものを尺に合わせて作ったのがあれ。なので、本当はああいう話をやってたかも。あそこまでライトにはならなかっただろうけど、ああいう要素を入れて作れたらいいなと思っていたのだけど、ANEMONEがああいうことになってしまって、「なんだったんだ」と言われるのはしょうがない。「ごめん。いろんな事情があって」ていう。これはなかなか言えないことで…。
名:結末が変わっていったというのは、エウレカに限らずオリジナル作品にとって結構あること。思っていたことと表に出さなきゃいけないものとがずれてくるのはよくあること。でも、もともとは嘘をつこうというわけではなかった。こういう流れでやろうというのはあったということですよね。
京:そうそうそう。
名:それが打ち合わせを重ね、どういうものを見せていくのか、という中で、色々方向性が変わったりだとか…
京:…映ってないけどね。
小:すごく遠くを見て言う笑
名:すごく大変だったんですね、いろんな話し合いがあり…より良いものをね!皆さんにご覧いただこうというところからの変更なので。ちょっと次回予告の雰囲気からは変わりましたが、満足いただける「2」になっていたら良いなという。
京:あれはあれで観たかったなと。
名:そういうのありますよね。さっきのドミニクの話もですが、彼らの世界線も見たいとか。いろんな広がりを見せたから、そう思うところも多いですよね。
京:今すごいポジティブな思いをいただいたなと。
名:ポジティブに言ってみました笑

 

(応援メッセージ)
名:ANEMONEを観てからEUREKAを見てくれるそうです。
京:正しい見方ですね。
名:今後のシリーズの展開がどうなるかとかはあるんですか?
京:さあ笑 自分は卒業なのでね。でも、誰かが作れるようにセッティングはしたつもりなので。
小:では今後、京田監督の新作として、「がりっとばるーん」が作られることは…
京:そっち!?
名:そっちは作ってもいいんじゃないですか。
京:そういうのは苦手で笑
名:アネモネは出てきそうな感じですよね。
京:出てくるね。だって、宇宙戦艦1つぶっ壊したじゃないですか。基地にもう1隻あるのわかりました?ちゃんともう1隻用意してある。
小:でもエースパイロットが…
京:エースパイロットはいるんで。もう一人。
名:新たな彼女が。
小:あの子をまた、戦いに身を置かせるの…
京:「なる」って言っちゃったからしょうがない。
名:そうなったらそれこそ、エウレカにとってはお姉さん的存在でしたけど、母親的な存在になっていくんじゃない。
小:第二のおばさまとして。責任重大ですね…。そうなる可能性を秘めているんですね。
名:でも、監督は卒業らしいです。
京:お話が、若い世代、次の世代に引継ぐ話じゃないですか。ホランドもそうやっていなくなっていったし。このあと子供が出てくるんですけどね。…え?
小:え?そうか、タルホから産まれてくる前ですけど。
京:その子がアイリスと出会ったり。
小:そうか、ホランドの子供、男の子だ。
京:脚本まであった。設定画もあった。パンフを買うと載ってます。
名:もしかしたら今後、二人の親になるかもしれない。ホランドを引き継いで、パパになるかも。
小:タルホママと…この流れのアネモネは、パパだわ。
名:タルホとアネモネのパパママって怖すぎだよね。生きていけるかな…。想像したらだいぶドキドキするけど、そんな未来を見てみたい。見ている人もいろんな未来を想像してみてください。

 

名:そろそろラジオが終わりですがまだ聞きたいことはありますか?
小:まだまだあるけど、聞いていると本当に終わらないので。また別の形で、こういう場、皆さんの応援によって作ってもらいたいなって。
名:見てもらった後に、キャスト・スタッフ陣でお話しできるといいよね。お客さんも一緒に。また皆さんとお会いできるといいな。
小:できればANEMONEを見直してから、もっとできればテレビシリーズから見直してからEUREKAを見てほしいな。

 

3 ゲスト さん

名:監督は「エウレカ愛」を感じることはありますか。
京:いろんなところで名刺代わりに紹介される作品。
名:子供のころに見ていたという方と仕事すること、子供の先生が知っていたり、若いころ見てましたって言われると、長い時間経ったんだなと思う。
京:僕はできるだけ素性を隠して生活をしているので。声優さんは声でわかっちゃう。
名:影響してきたことはありますか?
京:年取って、レントンとかホランドとかではなくなっちゃった。チャールズとかの味方にどうしてもなっちゃう。
名:確かにテレビではレントンホランドを描くことが多かったですね。
京:人によってはレントンの立ちポーズが僕になってたなんていう人もいた。
名:レントンそのものなんていう人もいましたからね。でも内面とかも、監督の思いとかが、全部ではなくても二人に乗ってたんだろうなと思います。
京:そういうのがフィルムに定着していたらうれしいと思うけど、自分としては本当か…?という。
名:最近ではチャールズ目線で作っているという自覚はあるんですか。
京:物語を作ってる段階ではそうではないけど、作る前の段階でそうなっちゃう。2本目3本目では、自分がそのキャラクターになるんですよ。脚本のメンバーにそれを戻してもらう、冷静にしてもらったりして直してもらう。見え方が変わってしまう。
経験も違うししょうがない。同じ作品でも見る年齢によって見え方が変わる。その時の感覚によって重要視する部分も変わる。いろんな年齢層が出てくる作品の面白いところで、繰り返しみたときに見え方が違うのは作品のよくできてる部分だと思う。

 

名:2,3作で幼少期やアイリスといった子供目線での大人の見え方が描かれた。
京:そこは作っている側のプライベートが変わった部分が大きいと思う。みんな年取って見え方も体験も変わり、よりリアルに描けるようになった。

 

名:デューイが怖く描かれている。デューイはどういった立ち位置なのか?
京:いちばんのちゃんとした敵にしようと思っていた。テレビシリーズのときに、「こういう役にしたいな」と思っていたのが、尺だったり表現の制約とかいろんなところで変えざるを得なかった。映画という機会で、本来やろうとしていたテーマにもう一度フォーカスを当ててみよう。そういう面と、キャストの方に半分あてがきのような形で実は作っていた。実はデューイをちゃんと描くというのをシリーズの一番のテーマにしていた。そういう意味では辻谷さんありきで作り始めた物語だが、不幸が重なった。ただそこから派生して不思議な変なキャラクターになっていったという面白さは作りながらあったし、そういう種をまいてくれた辻谷さん、藤原さんの力があったからこそというところかな。
名:ある意味最初のデューイからすごく変わった。中身が多重的に変わったという感じがある。いろんな人にやっていただいたということもあるが、皆さんがそれぞれ作ってくれたものが、最後ひとつになっていくみたいな。
京:デューイがどういうキャラクターなのかというのはシリーズ最初から決まっていて、「エウレカに会えなかったレントン」。エウレカに会えずに大人になって、いろんなこじらせてしまったレントン
名:最後が切ない。自分勝手に動いていたけれど
京:かわいそうな人ですけど、でもかわいそうな立場で生きていかなきゃいけない人はたくさんいる。でも彼はやろうとしていたことは完遂はできたので、成功はしなかったけど、自分のやりたかったことが叶えられたのは幸せだったのかもしれない。「本当に良かったの?」とか滅茶苦茶疑問を投げかける部下とかいましたけど。
名:難しいとこですよね。全部のバランスを描かなきゃいけないけど、それは難しいですか。俯瞰して作品全体のバランスを見て。
京:それは無理。作ってるときはキャラに入っちゃうので、それで物語を変えちゃう部分もある。
名:じゃあそういう時は、周りの助けを得ながら。
京:ただ、実際そういうときは絵を描いている段階なので。セリフだけでも直そうとか。アフレコのときになかったセリフとかを、結局使わないけど撮っておいたセリフとかをオンセリフでデューイで使ったりとかしてる。台本にないセリフがあるんですよ。初号がまだだから観てないでしょうけど。
名:もう3週目なんですよね笑
京:それ見るとエウレカがなぜ最後になんでこういうことをやったのかがわかりやすくなる。人によっては見え方がひっくり返されて見えちゃう、聞こえてくる、という形にした。
名:そういうことが、私たちの収録の後に行われているんですね。
京:いや、撮ったんですけど。取った後にもう一回編集しちゃったんで。それはそれで問題があるんですけど。

 

名:それぞれの物語がそれぞれのラインで動いている。ホランドも雰囲気が変わっている。タルホだけでなく、守るものができている。監督の中ではかけがえのない人物だと思うが、今回の思いは?
京:自分の中では2回話を作って、2回ちゃんと結末をつけたというつもり。今回何が残っているのか考えたが、交響詩篇のときの流れで、彼がちゃんと成長していったらどういう人になっていったかという感じで描けたらいいと思った。人って変われるものなので、変われることをポジティブに描けたらいいなと。もうちょっと尺があればよかったけど。
名:柔らかさ、優しさが伝わった。
京:そこは森川さんの力が大きい。

ホランド役の森川智之さんを加えての会話

名:1ではサマーオブラブが描かれた。監督はなぜこのタイミングで明らかにしようと思ったのでしょうか。
京:「明らかにせよ」といわれたから。お話として、レントンのお父さんが何をやらかしたのかがわからないまま進めていた。今回映画だから、そこはばらしてもいいじゃんという。そこでホランドやチャールズたちがどういう形でからんでいたかを見せておきたい。そして、メカチームがバランス的に活躍できるのがそこしかなかった。
名:1ではレントンに対して厳しく当たるホランドを演じた森川さんは、当時のことを覚えていますか。
森:1のころは、震える小鳥のようにスタジオに行った。人気作品だし三瓶が自分の事務所にいるとか時間の流れを感じつつ、藤原さんが気づき上げた人気のキャラクターで相当なプレッシャーだった。音響監督には、言われたままやるから、と。震えながらいった記憶がある。
名:誰かの代役ってプレッシャーすごいですよね。
森:春日部のお父さんもやってたり。藤原さんとはデビューが同時期。ヘポイという作品で、藤原が初めて声優としてきた。そこからの付き合い。同じような道を歩んできたし、そういう縁も感じる。ホランドについてはちゃんと「つなげたい」という思いはあった。でも藤原さんが長い間きずいてきた時間があるので、難しかった。
名:そんな思いは作品に乗っていたと思うし、ホランドが好きな人たちも、森川さんにやってもらって良かったと思っているのでは。
森:演じ切れてつなげられたかなと思っている。

名:ハイエボに関してはテレビシリーズとは違った面がそれぞれのキャラクターにある。特に今回レントンに厳しかったり。3では父親の立ち位置になったり。変わっていく部分も難しいのかな
森:人は変わるし、守るものが増えたときに変わらざるを得ない部分が作品の中で感じられたので、成長できたのかなと。
京:ほかのキャラクターたちからどういう風に思われているのかを表すセリフも脚本上ではあった。もともと通信画面越しのホランドとタルホの会話は無かった。ムーンドギーとギジェットが「あいつ変わったね」と、どういう風に変わったというセリフを考えていた。でもそれをやると今生きているホランドとタルホのドラマが弱くなる気がした。どういう会話をして、どういうことをうけ継いだかをフォーカスを当てた。めっちゃ尻に敷かれている。

名:タルホみたいな女性はどうですか。
森:惹かれますね。安心して自分に専念できるというか。
名:タルホが妊娠しているというのは早い段階からきまっていたんですか。
京:僕の周りのやんちゃな友達がみんな結婚して子供ができて、やんちゃがなくなって子供モードになっていった。あと、継承とか世代が変わっていくことがシリーズのテーマだったので、象徴としてもよかった。
森:子供ができると女性は母親の顔に。父親はやっと大人になるというか。
名:ちょっとやんちゃが残っている部分もかわいい。タルホには怒られちゃう。
京:気を使って、自分の兄がやらかしたことに、嫁を巻き込まないぞという。でも全部ばれてる。かっこよくしたいけど、ならない。
森:それをみてブリッジのみんながくすくす笑ってる。いい職場だ。
名:会社でトップの立ち位置ですが、みんなにバレバレだったりしますか?
森:そのほうがいいですね。
名:それが現場のみんなが楽しいだろうし。
森:特に我々の業界は狭いからね。会社の中だけじゃなくなっちゃうから。最近飽きたっていうくらい、声優の露出が上がっている。作品もアーカイブなどで多く見られやすくなっている。
名:作ってきた作品がいつでも楽しんでもらえるのはうれしいですよね。監督はどうですか。
京:昔のアニメしか最近見なくなっちゃった。見たいの観てたら新作見る時間がない。
名:昔のって長い作品もあります。
京:エウレカも50話っていうと「長い」と言われる。
名:いつでも見れるをプラスにとらえてみてほしいな。

(質問)レントンが職場にいたらどう思いますか。
名:どうですか監督。
京:よくレントンと言われるので、もう一人いたらいや。
森:本人がそういうんだから。友達くらいなら。
名:人気ないね…エウレカはこんなに好きなのに、大丈夫かな。
京:テレビシリーズのとき後半を脚本書いてもらった野村さんとしょっちゅう話していた。なぜエウレカレントンに惚れたか?それは、レントンが普通の人がやらないことをするからではないか。エウレカが右腕が変容したときに、どうしたら思いを伝えられるかというときに、腕を傷つければいいんだという。でもそれは普通なら頭おかしい。ドン引きですよ。だから、エウレカ専用機。
名:でも女性はそういうの惹かれますよ。自分にないもの・感性を持っていると。男性もそうですか。
森:そうですね。頭の回転の速い人に惹かれる。
名:滅茶苦茶早い印象ですが。タルホはどうしてホランドに惚れたのでしょうか。
京:そこも設定では考えていて、タルホはエリート育ちのお嬢様。箱入り娘だったのが、ちゃらくてリフをしている、カウンターカルチャーな人がぐいぐい出世している人に口説かれた。知らない世界を教えてくれて惚れていったのでは。
名:最初はホランドがぐいぐい行ったんだ。
京:たぶんそう。1作目から作戦指示をするようなエリート。自分にないものを持っているところに惹かれたのでは。
名:監督は自分が惚れたらぐいぐい行くんですか。レントンホランドもぐいぐいですが。
京:ホランドはぐいぐいだけど、レントンはわかってない。
名:自分はぐいぐいです。
森:自分もぐいぐいです。

(質問)次回作への展望はありますか。
京:次回作は色々やってるからあれだけど、もう一回ボーイミーツガールがやりたいなと。
名:じゃあ本当はトーマス達を描きたいんじゃないですか。
森:えっ
京:そこは若い人たちに任せます。
名:実は…
(略)
森:ちょっと賢そう。
京:イケメンなんですけど、学校さぼり癖がある。ボードで遊びに行ってタルホに怒られてる。
名:お父さんのDNAが笑
森:タルホも寂しくないですね、そういう意味では。
京:お父さんはこうだったんだからとか、たたき上げで頑張ったんだからとか言ってるのに「知らないよ」って。お父さんが生きていたらって泣かれる。
森:じゃあ監督、もう忙しいじゃないですか。
名:この作品では次の世代へ、というのがテーマ。京田監督としては誰かに引き継いでもらって描いてもらうのがいいと。
森:監督の中には誰かいるんですか。
京:わかんない。3作目は実は僕は監督やるわけではもともとなかった。ただ、自分を含めて、自分がやった方がいいだろうということで面倒見ることになった。
名:もしかしたら京田監督ではないかもだけど、トーマスたちの話も観たいですね。

名:ラジオどうでしたか。
森:収録のときもみんなと一緒にやることもなかったし、メディアに話すこともなかったので楽しかった。
名:メッセージをどうぞ。
森:藤原さんから引き継いで演じることができた。作品のテーマでもあるが、声優としてもつなげられた、大事な作品。ぜひ見てほしい。

4 ゲスト 三瓶由布子さん

名:何度か見てくれた人が多いかも。もしかしたら三瓶ちゃんのゲスト回が聞きたくて待ってた人もいるかもしれない。
三:レントンビームスサーストン役の三瓶です。
名:言い慣れてない!
三:初めて言った!言い慣れてない!こだわって「ビームス」って入ったって噂は聞きましたが。
名:養子になったっていう。
京:それだったら最初から「ビームス」って付けといた方がよかったなと今となっては。
名:なぜここにきてみたいな感じはありますけど笑。いろいろな事情が。
三:あの夫婦のファンは多いし、きっと制作側の好きな人の愛が詰まったんじゃないかな。
京:最初は「レントンビームス」って書かれてたんで。「サーストンはどこいったんだ、つけないとまずいでしょ」って。
三:今回はゲストできました。
名:これまでは二人でMCが多かった。
京:僕もゲスト。

名:三部作が完結しましたが。
三:まずは監督に「お疲れ様」と言いたい笑。
京:いや、頑張ってるのは現場のみんななので。僕はただ旗を振ってるだけ。
名:大変ですよ、3部作引っ張っていくというのは。
京:三部作本当はやる予定ではなかったんで。3本目僕はここにいないはずだった。
三:すぐ逃げようとする。
京:逃げてないよ!
名:すぐ行方をくらまそうとする笑
三:みんなで「ダメダメ」「やってください」と。

名:最初三部作作る話を聞いてどうでしたか。
三:終わるのかな…。テレビシリーズ1年間、今にして思えばオリジナル作品で長期にわたる、すごいこと。1年間やって、劇場版やって、大阪城ホールMBSのイベントもやって。ラジオもやって。私たちもいろいろなことをやってきた。これから新たに劇場をやると聞いて、何をやるのか全然わからなかった。
名:監督もテレビシリーズで出し切った感があったと思うけど、私たちもあった。
京:そこでいうと、もともと最初の映画(ポケ虹)は、テレビの最後の2本の製作が間に合わなかったので、2本立てで1本目が総集編として48話まで(バレエメカニック)。最後の1本を完結編として2本をやり直すというのが企画の発端だった。
名:そう、最後の2本は予定とは違ったんだって。
三:予定とは違った!?ここにきて笑
京:途中で、48話でスタッフが埋まってしまって、物理的に作れなくなった。すごい調整したけど40話以降がもうほとんどムリで、48話で僕らは討ち死にすると。最後の2本はどうしよう…なんかバラエティ番組とか差し替えてくれないかなと。それくらい無理だった。実際脚本とかも、正月にね、ラジオでえらい人たちが来てくれて、最終回は出来てると豪語されてたんですけど。
名:私たちのラジオに南さんたちが来た時ですね。
京:その時に僕の目の前にあったのは白い紙だったんです。そこから4月の第1週までに2本作らないといけない。お話が収まらないのはわかっていた中であのシリーズの結論を作ったんだけど、もう少しちゃんと説明したりとか、時間の都合で描写できなかった部分を補う完結編を作ろうか、というところから始まったのだけど、大阪城ホールでのイベントがよくて、みんな納得してしまって。「単なる総集編はもういらんね。全く新しい話を作ってください」となって、「どうすんのこれ」という。
名:あそこで予定外の完結を迎えてしまった。
京:そう。あれにちょっとしたラストシーンを加えて、まるでエウレカが死んだように見えるけど、違ってるよ、というオチを作るという最終回を作るはずだったのが、思いのほかうまく行っちゃって。これやってもしょうがないじゃんとなって、違う話になっていっちゃった。
名:そういう流れだったんですね。
京:そこで違う話として動いていたのが、チャールズとレイの子供としてレントンがいるみたいな構造の話だった。それが今の映画でも引っ張られている元ネタ。本当は、小さい国の王様がチャールズでお姫様がレイ、そこの子供としてレントンが、別人格なんだけど生れてきた。そこにまた新しくエウレカが生まれてきてしまった。1万年後っていう設定なんですけど。エウレカが「レントンがいない」と大騒ぎしていると。そこでレントンにそっくりな人を連れてこいとなって、そっくりな人がエウレカの前に現れて、エウレカは喜ぶんだけど、レントンは世界を守るために「エウレカが好きなレントン」の役割を演じ続けるっていう。でもエウレカ自体も新しく生まれたエウレカなので、「エウレカは自分ではなくてレントンという幻影が好きなのかもしれない」。自分は幻影を演じているうちに、エウレカが好きになってしまった。自分のそっくりさんに対して嫉妬をしていくというような話で、でも世界は週末に向かっていくという話を考えていた。でもレントンエウレカアイデンティティをつなげてください、別人はダメということでおじゃんになった。そこで最初の映画の内容になっている。最後はオリジナルのレントンが現れるという話だった。同じ絵なんだけど1人2役という。あなたたちはあなたたちなりに好きでいていいのよ、って言って2人が救われていくという話を考えていた。
三:全然可能性としてありうるね。今回の最後のシリーズ、改めて見たけど、めっちゃ大人になっているなと。テレビシリーズではレントンは50話を通してすごく変わったけど、今回一番変わらなかったのはレントンかなって。変わってないわけじゃないけど。みんなが大人になっていって、自分だけおいてかれてるような笑 もうちょっと大人になりたかったな…とか笑
名:収録のときも迷ってたよね。エウレカがすごい大人になっちゃってるから、「どれくらいの年齢感でやってる?」って。
三:アフレコのとき絵ができているわけではなかったけど、デザインはわかっている状態。一緒のシーンい出てきたらどうなっちゃうのかな?という。
名:私の声で大丈夫なのかな?
三:お姉さんと弟みたいになっちゃうんじゃないかとか、そんな話をした。

名:ホランドたちも大人になっている。
三:ホランド、私めっちゃショックだったんですけど。
京:言われると思いました。
三:ホランドが家にいるシーン、めっちゃちゃんとしてる!って。
京:そうそう。
名:監督の作戦ではある。ちゃんと伝わってますよ。
京:やった。
三:テレビの時は憧れてた人が、実はパンツ一丁で出てくるような人。
京:本当はギジェットとドギーに「あいつ変わったな」って言わせることも考えていた。最後の別れのシーンなのに、ちゃかすようなことはできないと考えてあのシーンにした。タルホの尻にめっちゃ敷かれている。ちゃんとさせられてしまっている。
名:子供ができると変わるんだね。
京:最初から子供がいたらこんな活躍はしてたんだろうか、という話をしている。そしてタルホに電話で怒られている。
三:ドギーやギジェットも成長していた。
名:当時ののびのび選手権からすると。
三:訛りも抑え気味だった…みないな。
名:本人たちにも聞いてみたい。私たちはちょいちょい作品に関わっていたけど、ドギーらは本作が久しぶり。
三:訛りどうやってたっけ、みたいな感じだったのかなあ。ここでも訛るんだというのは思った笑 アフレコのとき何か言ったんですか。
京:いや、さっそうと現れてさっそうと撮ってさっそうと帰っていくという。迷いなく。
名:さすがだね。スターですよ。
三:かっこいい役とかやってると、「マモちゃんは違うんだよ」笑。
名:確かに面白い役をやっているときの方が身近な感じがする。全然関係ないけど最近CMに出てるじゃない。楽しそうすぎてつい見ちゃう。

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名:ハイエボ1が大活躍、収録の時大変そうだった。
三:アフレコの大変さはあった。一人のモノローグがたくさんあった。今見てもめっちゃセリフが詰め込んであるなと。2・3を見て、大変さの種類が違うな。よくエウレカ、ここまで変わったな。同じシーンをもう一度やる…けど違う、やっぱり難しかったな。
名:ANEMONE、エウレカは難しかったけど、新しかったから、最初乗り切ってしまえば、割とすんなり物語が進んでいった。1のときはモノローグに加えて、本編でやっていたときから違うシチュエーションや違う感情で演技するのは大変だったろうな。
三:完成品が描けていなかった。ここにこの音楽載るんだ、とか。想像していなかったものが作られるんだ、という面白さがあった。
名:映像物の作品の作り方に似ていたのかも。映像だと、頭から取れないから結末を先に撮っちゃったりとか。だから演者さんは物語をつかめないまま作ることになる。ハイエボ1はそんな感じがする。
三:振り返ると、1は壮大なアバンだった。1・2・3セットで見てくださいというか。抜き出してみても、難しいかも。
名:3本目をみてつながる視聴者は多いと思う。テレビを知っている人が多いだろうから、私たち同様の混乱を引き起こすことになる。

三:サマーオブラブはすっとできたんですか。
京:あそこは、こういうシチュエーションで、戦いで、という情報だけで特技監督の村木さんに叩きの絵コンテを作ってもらった。メカアニメーターが活躍できる場を提供できた。15分くらいでできるかなと思ったら30分くらいになっちゃって。まあ内容的にはやらなきゃいけないことだからしょうがないなっていう。何が起こっていたか、因縁があったか、テレビの視聴者もある程度わかるし、このシリーズでの因縁がどのように起こったかというのをすべて示していた。

名:アドロックは古谷さん。
三:お父さん、アムロ!かっこよかった。テレビでは絵でしか出なかったけど、かっこいい人だった。あんな人にテレビではぐちぐち言っていたんだって。
京:甘えていたんだと思う。父親がいないって大変だと思う。愛情をもって死んだのだとしても、子供としてはやっぱり「でもいないじゃん」というのが強いと思っちゃう。
名:アネモネも似た境遇。違う形で乗り越えた。
三:アネモネにとってエウレカは元凶じゃないですか。それと大人になるまで付き合っているのすごい。今回、アネモネがすごくいい子になっている。テレビでは生い立ちもあったけどだいぶヒャッハーな感じ。最終的にドミニクと手を撮れたけれど。今回はちゃんとしてる、説教してる。小清水の声が柔らかい。
名:環境が違うと人がああも変わる。周りの環境・出会う人で変わることがテーマの1つ。
京:そう。そして、いい人ばっかり出したいなと思った。悪いことしていても理由があって、とか。エキセントリックな悪役は映えるけど、そればかりがメジャーになると実生活に希望がないと思った。みんないい人ですよ、この世界は悪い世界じゃないですよと言いたかった。
名:デューイにもデューイの考え方があった。
三:ちょっとターミネーターっぽいところもあったけど。最終的には人間らしい。
京:僕の中でエウレカに会えなかったレントン。歪んだまま成長していって、中二をこじらせてしまった。
三:愛してますもんね。最後も、「顔が近い!」って、私の中のレントンが叫んでました。
名:最後レントンと再会できましたよ。
三:良かった。出てて良かった。
名:アネモネのときも出ると言われていたけど。
三:ちょっと出る出る詐欺っぽいところが笑
京:最後全部持っていくっていう。
三:王子様的に迎えに来た感じだけど、アイリスが夢で言ってくれているけど、お兄ちゃんが門の前まで来て「開かない!」って言ってるところ想像すると、レントンっぽいなって笑 これは本当にかっこよく助けに来た王子様なのか…?
京:かっこいいですよ!
名:アネモネエウレカとともにヒーローになっちゃいました。アイリスも宣言したから今後ヒーローになっていく。
三:アイリスの第一声を聞いたとき、名塚のやったエウレカの小さいときの雰囲気に似ていた。かわいいんだけどダダのこねかたが子供の部分がとても出ていた。これは一緒にアフレコしたら、お母さんの部分が出てしまうだろうな。
名:年齢感の駄々っ子な感じが、エウレカから意識を少し外してしまうと、すぐオカンの部分がでてしまう。
三:説教している字面だけど、「これ最近あるやつ」ってなっちゃうと出ちゃうよね。
名:愛情のあるしかり方が無意識に身に染みてしまっている。
三:まだ愛情持たないでください、みたいな。
名:もう少し距離感みたいな。
三:育ちが違うという話だけど、エウレカと全然違う。ちゃんと子供だな。
名:表情も豊か。
三:人とは違うものを持っていてもちゃんと強く成長する。もうヒーローみたいな感じがある。世界を揺るがす大きな問題なのに、本人はそこまで重く受け止めていないというか、制御できているというか。個性。これから思春期を経て、色々あるのかもしれませんが。ちょっと安心した。

名:実はこの後のストーリーも考えていた。
京:21歳くらいのアイリスがアシッドで働いている。作戦中にトーマスという男の子に会う。トーマスは死んだお父さんのことをぶつぶつ言っている。コンパクドライブをいじっていたら「エウレカ」って出てきて、なんだ?って思ったら、アイリスが落ちてくる。
三:あれ?
京:あれ?
三:すぐお父さん殺しますよね。
京:お父さんはいいんじゃないかな、すぐ死んで。
名:なくなってからその存在の大きさを知るというか。
三:それも見たいなあ。

名:最後の「エウレカになる」という言葉を聞いても、三瓶の話を聞いても、同じように出会っても、話の流れはだいぶ違いそうですね。
京:今回一番大事だなと思ったのは、エウレカという子は1からすべて作り上げて、七転八倒していろんなものとぶつかったりして、本人的には全然満足した生き方をしていないと思っていたのに、その生きざまを見て、「ここに師匠がいる」、「ロールモデルがこの人だ」というのがあることで、いろんな人が救われていくという形だと思って。その象徴が、アイリスという女の子がこの人がロールモデルだと気づいて、この人がやったことをちゃんと理解して生きていけば自分もいい風にできるはずだとわかったから「エウレカになる」と言えた。師匠と弟子というか、ロールモデルがあると生きやすいと思ったし、そこからどう上に行くかというのが次の世代の課題。それが分かりやすいと思ったし大事だと思った。
三:そうしてくれないと、前の世代が救われない。
京:自分の下の世代が同じ苦労をしていたりするとみていて悲しい。そういうのを、ロールモデルを探して生きていくこと。そこを乗り越えようと生きることで世界はよりよく変わっていくし、世界がきれいに見えてくるのではないか。そうしたことを描きたかったのが3本目。
名:未来につなげるものを私たちが作っていくというのがテーマ。
三:頑張って良かったね。
名:この思いが皆さんに届いているといいな。

三:テレビも劇場も三部作も、京田さんが作ろうとしていたものと最終的にどれだけ違ったかはわからないけど、どれも最終的に希望があってよかったなって。
名:どれもエウレカセブンらしい。最後はハートも出てきましたし。
京:あれはたぶんレントンがハートにしちゃった。
三:アイリスに「ださい」とか言われてなければいいな…
京:たぶん見えてない。地球の反対側にいるから。後で知ってショックを受けるかもしれないけど。
三:それも新しい世代が変えていけばいいんですよ。
名:パンフに指輪のデザイン。RとEの刻印。
京:最後指輪してるんで。
名:収録の時は見えていなかったけど。
京:収録の時は付けるって考えてなかった。あとで作画の打ち合わせとかで、指輪してたほうがいいなって。結婚式だしねって。
名:結婚式だって。最後のシーンは二人の指に指輪が。
京:そういう意味ではアネモネとドミニクにも指輪があるんですけどね。
名:三瓶はドミニクが出ていたのは気づいた?なんと歌のお兄さんになっているんです。
京:タレントデビューしたんです。この世界に来て、この世界のことが知りたいと思って旅に行った。旅から帰ってきて自分の経験をみんなに伝えたい。伝えるためにはタレントになるしかない。また、存在してはいけないはずのおまんじゅうみたいな生き物も、存在できるようにするために、中に人が入っているという設定で2人で子供向け番組をやっている。そのポスターがどーんと貼られている。
名:デューイとエウレカが戦っているところの後ろに出てる。
三:それ見つけさせる気ないじゃないですか笑 それ私たちが見たやつにあったんですか。
京:ここに入れようと思ったのがこの間なので…
名:小清水がゲストのときに話したので、その時聞いたお客さんは気づくかもしれない。
京:人生迷走しちゃった。
三:一番変わったかもしれない。
名:ドミニクの10年の話だったり、アイリスのその後の話だったり、いくらでも派生できる形で完結を迎えました。これからももしかしたら新たな展開があるかもしれない。妄想は好きなようにしていただければ。
三:そこから派生するの笑 あと思ったのが、みんな滅茶苦茶用語を話す。監督の嫌がらせなのかなってくらい。私のシーンじゃなくて本当によかったと思ったけど、ゲッコー号では考えられなかった。軍ならではというか。
名:冒頭名乗るときすごい大変だった。
京:大人になったんだよ。
三:(小声で)僕も大人になりたかった…
名:じゃあそのエピソードも書いていただいて。
京:いや、レントンは永遠の14歳なんで。残念ながら。
三:ずっと、エウレカに恋をしていきます。

(質問)人気エピソードのアンケートがありましたが、皆さんのお気に入りは?
三:ふざけた話をするなら、サッカーの話。あれのおかげであの後サッカーの少年役の仕事がいっぱい来たのかな。
名:そこにつながるの!?
三:真面目な話だと、印象に残っているのは9話ペーパームーンシャイン。エウレカが初めて涙を見せる。女の子の涙を初めて見て戸惑う男子、みたいな。演じててすごく印象的。
京:あれはお話をリセットしてリスタートするための話。ローテーションを崩して自分が絵コンテを描いた。それまでは割と毎回ドタバタ劇。それを抑えて真面目な話をやる、というリスタートの回。なるべく印象的にしようと思って作った。
名:ポイントポイントであるよね。
三:銭湯に潜入する回とか。
名:エウレカでいうとお化粧する回とか。
三:前半面白かったのに急に重い話になる、パンチャの実を撮りに行く回とか。すごく象徴的というか、あの時代で、やんちゃでやったことがただでは済まないみたいなエピソードが多いなっていう印象。
名:監督は?
京:いっぱいあるけど、自分が直接やらなかった話で、やってもらってよくできた話は、ウィルとマーサの話。周囲からは自分が絵コンテを描くべきと言われたが難しく村田さんにお願いした。物語が盛り上がる寸前ですっと落としている。急にすごい地味な話だけど、エウレカレントン、シリーズを示唆する重要な話。ちゃんとできたのはよかった。すべて作ってもらった中でよくできたと印象的。ほかにも派手な話も印象的だけど、派手にしていけば、いいスタッフを割り当てればできてしまうもの。そうではない回で物語の楔になるようなものを作るのはすごく大変なこと。最後にウィルとマーサを出したかった。絵だけ49話とかに出ているけど、本当はセリフも取りたかったのだけど、若さんに「やめてね」と。「はい…」。いろんな事情で。
名:後半特に静かな物語とアップテンポの話の波がすごくあったなという印象。
京:エピソードとして印象的なのは、地球に降り立った後エウレカにクリス(?聴き取れなかった)がでてしまう。レントンが同じ傷をつければ大丈夫と傷つけて雑菌が入って熱を出すというエピソードは、最高だなと。これが僕の中のレントンですという。
三:それは門も開かないよね。14歳、頑張った。モーニンググローリー、バレエメカニックが人気なのはすごくわかる。知ってるよ♪

(質問)好きなセリフはありますか。
三:いわゆる子供向けの変身ものみたいな、これを言えばこの人みたいな決まり台詞が無い。わかりやすくない、というか。そういうセリフがないのも面白いな。作品が続いていると、そのセリフを言えばそのキャラクターになれる、というのがあるのだけど、そういうのじゃない。
名:唯一、相手の名前を呼ぶことが、キャラを取り戻す瞬間と思う。レントンと呼ぶとエウレカの感覚が戻ってくる。
三:ずっとエウレカエウレカなんだけど、最後レントンと会話しているエウレカがいちばんエウレカって感じがした。それはうれしかったですね。
名:自分にとってはやはりレントンと名前を呼ぶことが重要で、特報用のナレーションでも、レントンのことを話しているときは「レントン」と頭の中で連呼している。世界を守りたいとかいいながら、私の中では全部レントン、みたいな。表に出ているセリフより、自分の内側にある思いと言葉のほうがこの作品にとっては大事になっている。なので表に出ている言葉でぱっと出てくるものがない。
三:ありますか?
京:キャッチ―なセリフはことごとく切っていた。漫画的、アニメ的なセリフは、普段そういうこと言わないよねという気分で切っていた。最初のころは残そうとしていたが、変だと思った。普通なしゃべりを心がけていった結果、大事なことを言わない二人になっていった。
名:だから台本のセリフが短い。今作も説明が必要なところは話すが、それ以外は大体簡単に済ませっちゃう。
京:なんでこうしたか、を言わない子なんですよ。なんでエウレカがこの世界にレントンを呼んだのか、とかを含めて肝心なことを言わない。レントンの前でもどうしてそう決断をしたのかを言わない。でもレントンはそうしたことを含めて知っているから。それでも受け入れるよっていう男の子として描いている。だからめっちゃかっこいいんです。
名:ホランドとかのほうが名言が多かったかもしれない。
三:私は殴られた記憶しかない。1を見返したのですが、「鼻を鳴らす」のがレントンらしい。
京:おじいちゃん譲り。
三:そこの血はずっと。役者としても、私は鼻を鳴らすんだという。
名:テレビのときからやっていたよね。会話の中で鼻を鳴らすって難しい。

名:ラジオはそろそろ終わりです。
三:今日はジャージ着なくて大丈夫ですか。
名:ジャージ来たね。ラジオでいろいろやってきた。
三:ボードに乗ってすごく短いスロープを二人で滑った。最終回のあとの打ち上げで、吉田さんに、ジャージにレントンの顔描いてもらった。ずっととってあります。
名:フィギュアもラジオの間ずっと一緒にいた。
三:毎回ラジオ中に1部品ずつ壊してしまうという。

名:全4回にわたってラジオをやってきた。最後に。
三:4回目にしてゲストで出れました。本編でも待っていただきありがとうございます。ついに帰還しました。エウレカの頑張りを見守ってきて苦しいところもありましたが、成長したというか、男の顔になっていて、テレビシリーズも含めていい男を演じられてうれしかった。4回にわたって、余すことなく楽しんでくれている。こんな作品に携われて幸せです。また機会があったら、なんていうと白目をむいちゃう人がいるかもしれないけど、エウレカっていう作品が誰かにとって大切な作品だったり、「青春」って話があったけど、本当にそうで、自分が終わった後に「自分今何歳だっけ」ってわからなくなるくらい。そういう錯覚に陥るくらい青春なんだなと、それくらい大切な作品だなと思った。皆さんと完走できてうれしかった。
京:この収録の時点で完成していないので総括しづらいのはあるのだけど…自分がこういう形で完走するとは思っていなかったし、16年も続くと思っていなかったし、こんなに続けられるものになっていたんだというのは、当時もキャスト・スタッフ皆さんのおかげだと思うし、支持してくれたファンの皆さんのおかげ。自分なりにこのシリーズにどう決着をつけるか、自分ではやるつもりなくてやれと言われたからやったんですけど、決着をつけさせてもらえて。かつ新しい世代に新しいものを引き継ぐ形で締めくくられたのはすごく自分として幸せな作品を作れた。そこに付き合ってくれたスタッフ・キャストにすごく感謝している。なかなかほかのタイトルにはないこと。面白いものになっていると思うので、見てくれた人もいろんな歴史だったり受け継がれたものを持ち帰っていただいて自分の生活に生かしていただくきっかけ、応援歌になってくれたらうれしい。特にレントンエウレカというキャラクターを活かすために世界を作ったというのが基礎にある。そういう二人を三瓶さん名塚さんに演じてもらえたのはめっちゃうれしい。すごくありがたい。もし今後、僕じゃない人が作るかもしれないけど、出てほしいと言われたらぜひ出ていただきたい。
名:ぜひ
三:もちろん。レントン・なにがし・サーストンになっても。
名:どんどん長くなっていくかもしれない笑
京:ありがとうございました。
名:16年振り替えるとすごく長くて。初めの収録の時今でも思い出すけど、あそこからこんなに長い間携わることになるとは思っていなかった。当時から短い作品が増えていた中、オリジナルがあまり無かったのもありがたかったし、ずっと楽しんでくれているお客さんがいる。自分の中でも年々大事な作品になっている。正直最初本作の台本を開くのが不安だった。でも京田さんがラジオでおっしゃっていた、未来に残すもの、つないでいくことというテーマをずっと聞いてきたけど、台本を読んだときにそれを強く感じた。収録も楽しかったし、皆さんにも伝わっていると思うので、こういう形で完結を迎えられてうれしかった。この先のアイリスの話とかも気になるし、欲張りを言えばまだまだエウレカという役をやりたいという気持ちはある。もしそういう機会をいただけるのであれば全力でやりたいけど、まずは皆さまに御礼を。テレビも映画も大切な作品になってくれたらうれしいし、何年後か時を経てからも触れてもらえたらうれしい。私たちはエウレカではなくてもそれぞれが新しい作品を作り続けていく。それぞれの皆さんの活躍にも期待してもらえたらなと思います。

Galaxy Tab S9でKindleアプリ開くと画面が黄ばむ問題

Galaxy Tab S9を買い早速kindleを入れたら色味がおかしい…。

 

ここで解決方法を書いてくれている人がいましたが解消せず、

(バージョンが違うのか?)

note.com

 

ただ、参考にして試してたら以下の方法で解消できました。

 

1.「モードとルーチン」でモードを追加するのは一緒

 

「モードとルーチン」で読書モードを追加する

 

2.目の保護モードをカスタムで0%にする

目の保護モードをカスタムで0%にする

これで起動後少しすると色味が戻ります。

 

というか・・・これで解消するなら、

常に「目の保護モード」を設定しておけばこんなことにはならない。

常時設定

 

これでむふふな本も読み放題だぜ。

PS4ディスク版「Call of Duty: Modern Warfare 2」のPS5版へのアップグレード方法

最近ようやくPS5が買えた。PS4のディスク版「Call of Duty: Modern Warfare 2」を持っていたのでPS5版にアップグレードしようと思ったが、PlaystationStoreには出てこない。商品ページに行っても定価でしか買えない。果たしてアップグレードはどうやるのか…?と思って検索をかけてもなかなかヒットしない。もしやもう期間が終わっている…?と思ったがやり方わかったので共有します。

 

アップグレードの方法

1.ディスクケースにアップグレードのやり方の紙が入っているからそれを見ましょう。

2.PSStoreで「Call of Duty: Modern Warfare 2」の商品ページに行くと、無料アップグレードが選択できるようになっています。

 

以上です。